【宮永英一 琉球伝説 北海道ライブ】終了

終わりました。
3日間の束の間のお祭り騒ぎ。
準備には何ヶ月も掛かったのに、3日間はまるで一瞬の閃光のように過ぎてゆきました。

【プロローグ】

思い起こせば去年の12月。
重夫さんが巣鴨でのライブの告知をFBでした所から始まる。
しかも本番の10日ほど前の話だ。
よく見ると、そこにはチビさんの写真がデカデカと載っており、チビさんもそのライブに参加するらしい。
これはすぐにでも飛行機のチケットを取らなきゃ一生後悔すると思って、チケットを取ったのが始まりだった気がする。

巣鴨で重夫さんのライブを見て、チビさんのライブを見て、満腹状態だった所に、「チビさんに紹介するから、打ち上げに出ろ。」と重夫さんに言われて、恐る恐る打ち上げに参加した。
その席で、「北海道で重夫さんとチビさんのジョイントライブが出来たら良いね。」と言う話が持ち上がり、時期的な問題とかどうするか?みたいな話にまで成ったのだが、あまり具体的な話はされないまま、打ち上げは解散になった。

翌日札幌へ戻るわけだが、戻った途端チビさんから電話が入り、北海道ライブの実現についてお話を頂いた。
半信半疑だったのだが、この電話で開催がオレの中で確定的に成った。
つまり、オレが動けば実現するが、動かなければ実現しないと言う、知らない内にキーマン状態に成っていた。

【準備を始めた】

ライブ企画など、自分等アマチュアバンドの企画なら何度かやったが、こんな歴戦のプロもプロ中のプロ、今や伝説とまで言われるプレーヤーの企画なんかやったこと無い。
全てが手探りで始まった。

先ずは、日程を決める所から始まった。
開催予定は3月末。
これは、チビさんが4月以降は既にスケジュールが埋まっているので、2〜3月の方が都合が良いという所から来てる。
逆に言えば、世間は就職・進学シーズンで、バタバタしているわけだ。
果たして、そんな日程でお客さんが入るのだろうか?

さらに重夫さんやチビさんのファンはもう結構年配チームに成ってるはずだ。
オレの世代でさえ、よっぽどのロックマニアじゃないと、「野獣(のけもの)」も、「紫」も知らないだろう。
まして、チビさんはドラマーだ。
「紫」の名前を知ってても、ドラマーが誰なのか?何という名前なのか?ってのは、同じドラマー同士じゃないとあまり気にかけないものだ。

仮に知っていても、この就職進学シーズンに、自分達の子供がそれに当たる世代は、ライブ観戦する程の金と暇があるのだろうか?
何かと不安の多い企画になることは必至だった。

【とにかく作戦を練ってみた】

イベントごとで一番の心配事は集客だ。
成功の如何は、後にも先にも集客に尽きる。
需要と供給のバランスが取れて初めて成功するわけだし、また多くのお客さんを呼ぶことで興行としても成立するわけだ。

集客に必要な要素は3つ。
1:日程。
2:演者の知名度。
3:そして、内容だ。

先ず日程。
チビさんのスケジュールの関係で2〜3月と成っているが、札幌は2月に「雪まつり」があり何かと支出が多い月なので、その月に興行を打つのは、あまり利口とは言えない。
となると、3月になる。
しかし、3月上旬はその進学就職時期でドタバタしている。
もちろん支出も多いので、予算組が難しい家庭が多いはずだ。
むしろ、3月なら末の方がドタバタも収まり使うお金も使い切り、落ち着くのではないか?と考えた。
チビさんのスケジュールにも合致する。
ならば、開催は29日(金)と30日(土)で決定した方が良いという判断に成った。

そして演者の知名度。
確かに「紫」は有名である。
しかしそこのドラマーの名前を知ってる人は、紫を知ってる人の数よりも絶対に少ないことは自明だ。
重夫さんの事を知ってる人は、更に少ない。
ギタリストのカリスマでは有るが、一般人のカリスマでは無いし、またギタリストでもかなり突っ込んだマニアじゃないと、重夫さんの凄さを頭で理解できないから、実際に音を聞く機会がないと印象には残らないだろう。
この辺の「印象」に関してはチビさんでも同じで、実際にその音に触れない限り、「この人誰?」って思われてしまう危険性が高いわけだ。
そうなると、宣伝の仕方を工夫しなきゃ成らなく成るが、そこは後述に回す。

最後にライブの内容。
チビさんのソロによる、「琉球シリーズ」はソロなので、特にあれこれ考える必要もないが、問題は重夫さんが加わったチビさんとのジョイントをどういう形にするのか?なのだ。
基本的に、チビさんの琉球シリーズを組み込むことが最低条件だ。
その上で、重夫さんとのジョイントと成ると少なくとも2部制にするしかない。

まぁ、普通に2部制にしてやろうと思い、チビさんにその旨連絡すると、せっかくだから3日やろうと言われて、急遽3日目を江別TURNAROUNDに設定した。
そうなってくると今度は、各日程での内容が重要になってくる。
流石に、同じ街で同じメンバーで3回同じことやっても、お客さんが割れるだけで良いこと無い。
同じメンバー(つまりメインアクトが同じ)なので、内容に工夫が必要なのだ。

1日目・BLOCO・キャパ20程度
どっちみち20〜25も入ると一杯になるお店なので、初めから売上よりも、チビさんと重夫さんのリハーサル的な意味合いでセッティング。
なので、セッションは重夫さんのフルタイム設定。
サポートベーシストは百戦錬磨のノリキさんなので、リハーサルを兼ねたセッションとしては完璧な布陣。
リズムが安定してないとリハーサルに成らないので、ここでノリキさん登場ってのは全く理に適っている。
しかも、お店のオーナーなので、ギャラが必要ないと言う特典付き!こりゃ利用しない手はない。w

2日目・HOTTIME・キャパ50名程度
お店のシステムで「最低50は入れて下さい」と言う条件で安く借りれるわけだ。
なので、ここでの目標は50名。
単価も高く設定できるので、内容をかなり充実させないと集客が難しいことは初めからハッキリしていた。
なので、地元の英雄サーベルタイガーにご登場願う形になる。
バンドで登場されると経費が物凄いことに成るので、ゲストとして木下さんとアニキの両名に起こしいただく。
今回ばかりは、客寄せパンダ的な扱いで本当に申し訳ないが、背に腹は変えられなかった。
更に、サポートメンバーとして、ベース・キーボード・サイドギターが必要だったので、それぞれ王様の家来バンドで実績がある早勢と綾子に頼んだ。
そして、ギターには「紫」に思い入れがあるキミヒコを頼んだ。
これで、心の入った音が再現できると思う。
それでも、まだ不安は残る。
「豪華さ」を演出したい。
やはりオープニングアクトは必要だろう。
ただし、そこらの詰まらないロックバンドじゃ駄目だなと…。
「ホンモノ」を呼び込むにふさわしいバンド。
つまりオープニングアクトも「ホンモノ」じゃなきゃインパクトが無い。
※この「ホンモノ」論はまぁ後日別途記述するが…。
なので、考えた挙げ句、釧路のS.D.Cを呼ぶことにした。
これで、HOTTIMEの豪華さはある程度演出できると思う。
ここは一番頭使ったし、金も使った場所だ。

3日目・TURNAROUND・キャパ40程度
3日目なので、満員を目指すよりも「アフターパーティー」的なゆるい感じを演出して、自分も楽しむ…むしろ自分が楽しむためのライブにしようと画策。
なので、予定数は25人設定にして考えた。
内容は、キヤヘンが弾く!って言うのをメインに据えたので、重夫さんもちょっと少なめ。
オレが重夫さんと共演するというシチュエーションで、数年前にジョイントしたので、そのリベンジ的な意味合いも含めて、「とにかくオレが楽しむぞ!」って内容にした。

これで、3日間違う内容のライブをやることで、「3日とも観たほうが良いよ!」と言う告知ができるわけだ。
ポスターデザインして、チラシ作って、バラ撒けるだけ、バラ撒いて見たが、不安は無くならず…。

【メディアを使う】

そこで、コレまた大先輩のサックスプレーヤー田野城さんに相談してみた。
「タックに頼めばいいだろ?」
これは、目からウロコだった。w
タックさんに早速連絡して、イベントの現状と気持ちを話してみた。
すると、タックさんは日頃のオレの活動も見てくれているので、直ぐに色々手配してくれた。
普段は簡単に利用できない新聞やラジオのメディアを紹介してくれた。

この宣伝方法だが、「イベントそのものを単純に告知する。」のと、「ストーリーをもたせて印象づける。」のでは全然違うことを学んだ。
今までのイベント告知は本当に「告知」でしか無く「ストーリーを伴った印象づけ」からは程遠いものだった事を再認識させられた。

先ず、キヤヘンと言う人物のストーリーから人々の共感を得て、そしてそんなキヤヘンが力を入れてるイベントを紹介し、興味を持ってもらう。

一見遠回りに見えるが、この「ストーリー」がとても大切で、メディアを使うに当たってこのストーリーをいかに短く簡素に理解してもらうかが勝負に成ることを学んだんですよね。

当然、「キヤヘン」と言う人物を先ず理解してもらう為に、自分自身も商品化させねばならなく成り、自身の日頃の姿勢も改めざるを得なくなった。
まぁこれで、一層ヤンチャも難しくなるので、良い事なのだろう。w

【トラブル】

そんな不安を抱えつつ、全てが順調に進んでいたわけでもない。
予定していたOAのS.D.Cが出演できないとの連絡が来た。
前年から「来年の3月末にライブを行うので、予定を組んで欲しい。」とお願いしており、S.D.C代表の宮尾本人も承諾していたのだが、いざ本決まりに成ると出れないと言い出したのだ。

正直、コレには参った。
2日目のオープニングアクトは、インパクト勝負なのだ。
イヤという程のロックじゃなきゃ務まらない。
お客さんの印象を決定づけるためには、オープニングアクトから気合を入れてないと駄目なのだ。

普通なら、ここで自分のバンド「Phantom of sorrow」をOAに据えて宣伝とかもアリだったかも知れない。
しかしそれは、オレが理想として居る姿とは何か違う気がしたのだ。
かと言って、他の地元札幌のスカしたバンドじゃ全く役に立たない。
この辺の拘りはオレも相変わらずだなと自分で思いつつ、これじゃ友達少ない訳だよなと苦笑いが出た。w

とにかく、何とかS.D.Cを出演させるべく、宮尾を焚き付けた。
「オマエの正業は何だ?」と問いかけた。
オレは、40近くなっても腰まで髪の毛伸ばして「ロックだ!」と騒いでるやつの正業は「ロック」だと思ってる。
たとえ食う為に他の事をしていてもだ。
つまりは、「自分が何なのか?」の定義が曖昧な奴は責任感も無いだろうし、達成感も味わえないだろうから、「ただのダメな奴」だという判断なのだ。

宮尾のロックを妨害する事に対して屈服するのか、策を講じて乗り越えるのか、それは本人の判断なのだが、「ここ一番で判断を間違うともう取り返しがつかないぞ?」と若干脅したりもしてなんとか、S.D.C出演に漕ぎ着けた。

【いよいよ本番】

バタバタしている内に2人が降り立った。
前乗りしてる2人を、先ずHOTTIMEに連れて行き、マスターのケネさんに紹介しつつ、ツインペダルを借りる。
そのまま、BLOCOへ移動して、ノリキさんへ面通し。

実はこの作業が一番緊張するのだ。
店のオーナーや、バックバンドのメンバーと演者の相性みたいのが有って、これが合わないとそのイベントはNGになってしまうからだ。
当然、店のオーナーも演者も夫々の道でプロなので、不要な争いはしないが、メンタルはサウンドに大きく影響する。
不安要素や、そういった対人関係の不穏当な空気は、ライブの出来に大きく影響するのだ。

幸いにも、問題なく打ち解けていい感じのバイブレーションが響いてたので、これはイケると確信した。
後は集客だけだ。

【満員御礼】

初日BLOCOは、定員30名限定で、目標ラインは20名だった。
しかし、お店自体は20人も入るとパンパンなのだ。
要するに欲張って、30名限定として、20入ればOKと思っていた。
蓋を開けてみると、動員は19名。
目標に1人足りなかった。
これは悔しい。
あと一人呼び込めなかった自分の力の無さにガッカリした。
反面店は既に超満員で、重夫さんの最高の演奏と、チビさんの琉球シリーズの感動を皆さんに与えられたと自負しています。
ただ、個人的な目標値を達成できなかった事は、オレ自身の大きな反省点に成った

2日目HOTTIME。
直前まで目標を10名以上下回っていた。
個人的にはほぼあきらめムードだが、開演まで望みは捨ててない。
開場すると、予想以上にお客さんが並び、次々と人が押し寄せてくる。
しかも、その半数以上は普段HOTTIMEには出入りしないような人達だ。
気がつくと、HOTTIMEも超満員。立ち見が出て、座れない感じ。
目標を軽く突破してかなり良い感じに人が集まってる。
OAのS.D.Cも良い仕事をしてくれて、客席は初めから大いに盛り上がっていた。
続いて「琉球シリーズ」。
チビさんの沖縄に関する話を皆が聞き入り、その中で歌われる沖縄の思いを謳った曲は心に響く楽曲ばかりで、チビさんの和太鼓風なドラムサウンドと共に心に刻まれたと思います。
続いて、木下昭仁、下山アニキ両名を迎えてのセッション
サポートギターとベースとキーボードは、イライザのキミヒコと、王様家来バンドの早勢と綾子。
オレとしては、このHOTTIMEの布陣は、完璧だったと自負している。
「ホンモノ」を迎えるに当たって、全てを「ホンモノ」で構成する必要がある。
妥協はできない。

お客さん達は、後半の重夫さんのギターサウンドに理屈抜きで耳を持っていかれたと思う。
これがホンモノのロックギターのサウンドだということを目と耳と心に刻んで帰られたと思う。
結果、パフォーマンスはOAから最後まで完璧だった。

3日目TURNAROUND
ここは目標値25名。
お店自体は、40でも50でも入るのだが、公演3日目と言う事と、内容は「オレが楽しむ為の企画」と言う事で、目標値を低めに設定している。
それでも、座席は全部埋まり、カウンター席にも人がいる状態まで持っていった。
OAは無しで、いきなり琉球シリーズからスタート。
前2日間よりも長めのMCで、3日間通しで見た人は、沖縄の雑多な歴史や、現状、またチビさんの育った50年代〜70年代のアメリカ統治下だった頃の沖縄を垣間見ることが出来たと思う。
サウンドは相変わらず圧巻のドラムサウンド。
聞き慣れたTURNのドラムとは思えない鳴り方をしていた。
このインパクトは凄いと思う。
2部はいよいよキヤヘンタイム。w
オレがレジェンドをバックにつけて好きに弾くと言う企画だ。w
TURNのお客さんも暖かくオレを迎えてくれた。
定番のロックのスタンダードを中心に、ヨッシーも交えて、オレはベースまでプレイして本当に楽しい時間だったし、お客さんにも楽しんで貰えたと思う。

【結果、3日共良いライブだった。】

翌日も、きやへん倶楽部の新企画用の動画撮影や、配信にも付き合って頂き、本当に感謝しています。
お二人にも、「楽しかった。良いライブだった。」と高評価を頂き、お客様にも「素晴らしい演奏だ❗」「凄い音だった❗」「チビさん凄い❗」「良いライブだった❗」「こんな素晴らしい企画をやってくれてありがとう❗」「こんな夢のような体験は初めてだ❗」と、もう筆舌に尽くしがたい程の高評価を頂き、主宰冥利につきます。
色々大変だったけど、やってよかった最高の3日間。
オレは、レジェンド2人と行動を共にしたこの6日間は、この人生で一番の思い出になり、今後の糧となることでしょう。

【エピローグ】

今思うと、全てが奇跡の連続だった気がする。
12月に東京行きの飛行機が取れたのも、当日巣鴨で宿が取れたのも、3日間の日程でライブハウスを押さえることが出来たのも、田野城さんやケネさんにアドバイス頂いたタイミングや、それに従ってタックさんが動いてくれて、新聞にブチ抜きで紹介されたり、ラジオで十数分も時間が貰えたりと、普通こんな事起きないよ。
何よりも奇跡なのはあの紫のチビさんや日本のジミヘン重夫さんオレのプロデュースで来札してくれた事かも知れない。オレ的にはコレ以上の奇跡はないわけだが、今回は沢山の人が奇跡を起こしてくれて、このライブイベントの開催に繋がっている。
沢山の人の善意に助けられて、オレは生かされている事を、ここまで痛烈に実感できたことも初めてかも知れない。

この3日間ご来場頂いたお客さま、有難うございました。
そして、影で支えてくれた仲間たちや先輩方にもお礼申し上げます。
各お店のオーナーさんにも、無理難題我儘を聞いて頂き本当に感謝しています。
そして、キヤヘンに関わっているすべての皆様、有難うございました。
こんな達成感は、そうそう味わえないと思いますので、今しばらく浸らせて下さい。w
ありがとうございました。

m(_ _)m

世間話

Posted by KIYA-HEN