【世の中のロックファンは、Queenの映画で盛り上がってるらしい。】

なので見てきた。
しかも日をおいて2回。w

1回目は何の予備知識もなく、敢えてブッつけ鑑賞。
その方が事前に得る印象と映画の印象のギャップをより感じれるからだ。
これは、普段ハリウッド映画を見に行くときも同じで、事前に予備知識を仕入れないで1回目を見て、その後その映画にまつわる背景を色々勉強して2回目を見に行くというスタイルは、オレの映画鑑賞スタイルとしては定番なのだ。
ただ、近年は予算の都合で2回目を見に行く事は稀になってて、2回目はケーブルTVやDVD、AmazonPrimeVideo辺りで見ることが多くなったが、今回はやはり映画館でしっかり見たいという気持ちが働いた。

Queenと言うよりはフレディー・マーキュリーの物語だな。

1回目の感想は、まさにこんな感じ。
Queenとして重要な場面は結構端折られてて、事件の時系列も狂ってるし、スポットはフレディーに当たってるなとの印象が強かった。
素晴らしい映画だとの触れ込みで、先に見に行った人たちも感動の嵐だと好評だったので、自分の中で過剰な期待があったのかもしれない。

オレは皆が言うほど感動はしなかった。

始終「あ〜、ここはこう表現するんだ…。」見たいな冷静な目線でしてしまっていた。
物語が史実に基づいて進行してないと分かった時点でオレは「物語」よりも映画としての「作り」を見てしまっていた。

この辺のこだわりは、オレの青春時代を彩ったロックバンドの一つとしてもう40年以上も彼らの曲で育ってきてるわけで、特に大ファンって訳じゃないが、まぁロックファンとして最低限の知識を持って迎えてる。
だから、Killer QueenからのBohemian Rhapsodyの流れとか、We Will Rock Youが出来た時期とか、AIDSの告白とか、周知の時系列とは違う演出が、ちょっとオレの興ざめ感を煽った
でも一回目だから可能な限り隅々まで見ようと思って、物語の違和感は我慢しながら一生懸命見た。
各俳優達のそっくりさん度合いとか、人間描写とか色んな部分をしっかり見ようと思ったわけだ。

個人的に、ブライアン・メイ役の俳優さんが秀悦で、若い頃の本人じゃないのか?って本気で錯覚するほど、佇まいや喋り方、ステージでのギターの構え方や弾き方まで、本当にそっくりだった。
ロジャー・テイラーにしても、あのイギリス人的イケメン&ヤンチャぶりが完全に再現されてて、「CGなのかな?」って思うほど似てた。
ジョン・ディーコンも中々いい味出してて、顔こそ言うほど似てなかったけど、バンド内での立ち位置とかあの目立たなさは上手く再現できてたと思う。
むしろ、メインであろうフレディー・マーキュリーが一番似てないと言う皮肉が起きてた。w

再現度って話をするのは無粋だろう。

巷のレビューを見ると再現度について触れられていることが多いのだが、正直当時の彼らと親しい人以外、再現する元を知らないと思うので、その度合は語れないだろうと思うんだが、意外と「あれは本来そうじゃない!」見たいなレビューを見かける。
オレはその辺は映画として見てしまってるので、フレディーの着てる服とか、そう言う見た目にわかること以外に再現度については触れられない。
むしろ映画での演技がそのものなんだろうと考えるしか無いのだ。
そう言う意味でが、こういう実在のバンドをテーマにした映画としてかなりアバンギャルドなスタンスの映画だと思う。

通常、この手の映画は「伝記映画」になる事が多く、ストーリーは完全に史実通りで、役者も道具も再現性にこだわるものだ。
しかし、この映画はそうじゃない。
実在の人物やバンドをテーマにしてるので、映画としてのストーリー上必要だと判断したら、史実さえもバンバン無視してしまっていて、「映画」としての完成度を高めようとしている所が今までの伝記モノとは根本的に違うところだ。
しかし、この手法は過去になかっただけに、違和感が拭えない。
つまり、架空のストーリーなら実在のバンドを使わなきゃ良いのにと思うからだ。

しかし、この映画にはブライアン・メイとロジャー・テイラーが正式に絡んでいて、俳優の演技指導までしたらしい。
そう言う意味では、Queenのセールス映画、PV成らぬ、PM(Promotion Movie)ってところなのだろうか?
そう考えると、Queenの宣伝としては大成功なんじゃないか?
何より、アルバム売上がここに来てまた伸びて、SNSではそこらじゅうでこの映画の話題で持ちきりだ。

Queen側が、どの程度資本参加してるのかは知らないが、少ない経費で、効率の良い世界的な宣伝ができるなら、Queenとしても史実にこだわるよりは、ファンタジーとしてのQueenを提唱して売上を上げた方が得策だろう。
これは「マイアミ」の計算なのかな?w

2回目は更に「なるほどな〜」って気持ちになる。

史実と違うとか、演技がどうしたって部分はある程度解決し、純粋に「映画」を楽しみたくて見に行った。
Queenで有る事を気にしないで見るこの映画は、実は言うほど面白い映画ではない。
イギリスの若者がバンドを組んで成功するまでのサクセスストーリーとしては、事件に乏しい。
波乱万丈の末、成功を手にする的な、王道のストーリーでも無いからだ。
どちらかと言えば、フレディーの心情に重きを置いてるので、バンドとしての軌跡にはあまり触れてないから、バンドがいかに成功して行ったかは描写されてない。
この辺が、オレの中では中途半端さを感じる大きな原因だと思う。

じゃ、そもそもこの映画のテーマは何よ?

この、テーマが見えない、見えづらい、曖昧、ふわふわしてるとか、そう言うのは見ててもイライラしてしまう事が多い。
この映画も例に漏れず、このふわっとしたテーマ設定にはちょっとむずがゆさを感じる。

そこで、オレ的解釈で一番しっくりするのは「2時間のPV」である。

子どもがQueenのメンバーに成ってたPVを覚えてるだろうか?
The Miracle

Queenが女装して演技してるPVが有ったのを覚えてるだろうか?
I Want To Break Free

あの女装は完全にそのPVのために作られたもので、彼らが普段から女装してる訳じゃ無いことは今更言う必要もないだろう。
子供達だって、かなりいい感じだったが、今回の映画の俳優たちと同じ立ち位置だと思わないだろうか?

つまり、そう言うことなのだ。

この映画は、Queenのプロモーションの為に作られたちょっと長いPVなんだと理解した。
しかし、何度見ても女装したロジャーが美人すぎて笑うけど…。w

プロモーションだとしてフレディーの立ち位置は?

この映画がプロモーションだと考えた時に、時系列の乱れも、史実と違う部分もすべて納得でき、Queenというバンドをモチーフにすることも全てに納得がいく。
さらに、今は亡きフレディーを映画の中心に据えることは、バンドの表看板であるボーカリストだと言うこと、AIDSによって悲劇の死を遂げた事等を勘案して、「感動」を呼ぶにふさわしいと言うか、Queenを知らない若い世代にアピールするには、十分スキャンダラスな人物であることからも、妥当だったのでしょう。

・ロックスターで有ること。
・ゲイであること。
・他の3人と比べても破天荒でユニークだったこと。
・AIDSで死んだこと。

たったこれだけで十分スキャンダラスで印象に残り、更にあの濃い風貌が更に印象を深めている。
フレディーの個性がそのままQueenの個性と思われがちな作りなのが頂けないが、PVとして見るならば成功と言わざるを得ない。
更に、85年ライブ・エイドで映画が終わってることも、特にフレディーの伝記でもないって事なんだろう。
もし、フレディーの伝記なら、91年に死ぬ所まで映像化すべきだろうしね。

最後まで違和感が残ったのは…

俳優たちの風貌だな。w
物凄く似てるんですよ。
フレディー以外は、1975年頃のメンバーに生き写しって言える程にてる。
肝心のフレディーが一番似てないってのは先にも書いたな。w

じゃ、何が違和感かと言えば、1975年当時のメンバーに合わせた俳優達が、その若いまま1985年を演じてること。
これはやっぱ違和感成ったなぁ…。

これが1975年当時のQueen。
オレの印象に残ってるやつだ。

こっちは、1985年ライブ・エイド直後の写真。
言うほど老けては居ないが、確実に10年加齢してる訳で、そこを演出しなかったのが唯一この映画の欠点かな?
映画だから短期間で撮影してしまってるので、仕方がないとは思うのだが、他が良いだけに残念である。

まぁ「75年のフレディーに髭をつけて髪を切っても、結局75年なんだよなぁ〜。」って事を再認識した感じですね。
まぁでも、もう一回見たいくらいですな。

しかし、役者の演技力って凄いね。

主演のラミ・マレックは、ナイトミュージアムでエジプトの王子を演じた時に始めてみたんだが、特徴的な濃い顔が、よくあそこまでフレディーっぽくなったなぁと…。
晩年のフレディーには似てないが、デビュー当時のフレディーには、全体のエキゾチックな感じとかまぁ確かに似てる。
でも、彼は目が特徴的すぎて、それがフレディーらしさを壊してる反面、この映画が、「映画」であることを教えてくれてるような気がする。
なんか、少女漫画になったフレディーを実写でやってるみたいな感じと言って伝わるかな?w
演技自体は、素晴らしいと思うし、役者としてのラミのポテンシャルは物凄いものが有るなと感じるほどだったね。

ブライアン・メイ役のグウィリム・リーは、短髪で素顔に戻ると全然似てないんだけど、あの髪型にして演技に入ると急に、ブライアンに見えるんだよね。
あの変貌ぶりは凄いと思った。
造形を似せてるんじゃなくて、空気を似せてるんだろうね。
仕草とか、ブライアン本人の動画探して何度も見たけど、本当にCGか?と思うくらいそっくりだった。
ブライアン本人も「映像を見たら本当に自分に見えた。」って言うほど似てるってことだよね。

ジョン・ディーコン役のジョー・マッゼロも、若い頃のディーコンに似てるけど、ディーコンの特徴的な鼻までは再現できなかったらしい。w
でも、雰囲気は十分伝わる演技で、ディーコンの控えめな感じとか、物静かな紳士的なイメージをちゃんとファン目線で再現してくれてるのは嬉しかったなぁ…。

ロジャー・テイラー役のベン・ハーディも、グウィリムと同じ様に、普段は全然別人なんだけど、あの金髪のウイッグを付けて演技に入った途端、ロジャー以外の何物にも見えなくなる。
この辺の俳優陣のプロならではマジックは本当に圧倒される。

メイキングで、ブライアン・メイ本人が、「Queen役の4人は見事だ。完全に僕たちだった。鳥肌モノだよ!」って言うほどのクオリティーの演技だよ。
確かに、ライブでの演奏シーンは、「本物のミュージシャンか?」って思うほど、「正しい」動きをしてた。
ディーコン役のジョー・マッゼロ曰く、「役者が本当に演奏してる以上の説得力はない。」って言ってるけど、メンバー役の4人は本当に歌や楽器を必死に練習して、習得して撮影に望んだらしい。
これは凄いことだと思うんだよね。
まぁ、趣味程度に楽器演奏くらいはするんだろうけど、Queenに成りきって演奏するスキルを短期間で得るのは大変だったと思う。
グウィリムはブライアン・メイから直接ギターを教わったって言うから、羨ましい話だ。
完全にブライアンだったもんなぁ…動き表情、ギターの弾き方、ポジションまで完全にコピーされてて、更に映画での「役」と言う意味合いで本人よりも本人らしい映像に仕上がってると思う。