【クラウドファンディング雑感】

夏に行っていたクラウドファンディングについて、多方面から問い合わせがあったので、まとめ的に記録しておきます。
結論から言うと、国民性の問題でしょうな。
正直、日本人にはクラウドファンディングの概念は無理があるかもしれない。
アメリカやヨーロッパでは「寄付」と言う行為が日本よりもポピュラーで、そう言う土壌があるからこその効率よいシステムだとは思うけど、日本人が同様にこのシステムを利用しようとすると、幾つかのハードルを超えなきゃならない。

1:日本における歴史が浅すぎる。
つまり、日本向けにローカライズされ切っていない。
だから、概念は理解できても、そのシステムの概要や趣旨が理解されないため賛同しようとする人はまだまだ少ない。

2:クラウドファンディング会社自体がまだノウハウを身に着けていない。
基本的に、SNS等を通じて展開するクラウドファンディングであり、多くの「賛同者」が居ないと成立しないシステムなのだが、そのプロジェクトを立ち上げた人が居るコミュニティーの法則を全く無視した独自の方法論で賛同者を集めようとするので、中々賛同を得られない。
この辺のノウハウというよりも、会社側担当者の理解度に大きく左右されると思う。
例えば我々の場合、「ロックバンドがCDを作る」と言うテーマでプロジェクトを立ち上げたが、一部のファンの方からは暖かく迎えられたが、其れ以外の多くの人からは割りと冷たい目で見られてしまっていた。
Twitterなどでも、我々のプロジェクトに批判的なつぶやきが散見でき、まだクラウドファンディングに対してのシステムや趣旨の理解が足りないと感じたが、この辺のサポートこそ必要なサポートであるのに、会社側からは的確なサポートは得られなかった。
これは、実際に自分たちの交友関係を超えた所で如何に賛同を得るかという部分が鍵になるわけだが、その「知り合いの壁」を超えることは容易じゃないし、そのノウハウこそが必要なノウハウだと感じた。
日本の会社にはまだそのノウハウは無い。
この辺が、国民性にも関わってくるが、出資や寄付が当り前ならば、割りとハイペースでこの手の話は拡散されると思う。
其の根拠は、ボランティア系の話だと達成率が高いからだ。
ちょっと途中経過を端折ってしまったが、この考察と根拠のつながりがわからない人はクラウドファンディングには向いてないだろう。
寄付慣れしてない日本人でも、ボランティアって言葉には弱い。
つまり「善行」には「美徳」がついてくるので、ボランティアですと言うと、寄付なんかもすんなりする訳だが、そうじゃないと成ると懐疑的になるのであまり同調はされない。
もう一つは公共性。
公共性がないとお金は出さない傾向が強いので、海外のクラウドファンディングの様に「ベンチャー企業が出資者を募る」とかそう言うシチュエーションのプロジェクトはあまり成功していない。
そのベンチャーが公共性の高い仕事をするなら話は別だが、この辺は国民性に立脚していて、どうにもならない日本独自の問題だと思う。

3:マニュアル絶対主義。
これは、そのクラウドファンディング会社にも依るのだろうし、担当者の考え方にも依るのかもしれないが、我々の担当者(キュレーターと言うそうだ)は、非常に頭が硬かった。
ロックバンド的な単価を考えた時に、オレ自身は最低3000円から出資者を募ろうと思っていた。
3000円出してくれれば、出来上がったCDをお渡ししますと。
しかし、クラウドファンディング会社からそのプランはNGが出た。
単価が低すぎるというのだ。
其の理由が「単価が低いと目標達成するに人数が必要になり、達成が難しい。」とのことだ。
恐らくはマニュアル通りの指導だったのだろう。
一理あるとは思うが、それはロックバンドを取り巻く環境が解ってない事の現れだ。

4:プロジェクト実行者の環境を理解しようとしてない。
概ね、公共性とは無縁なロックバンドのCD制作と言う、至って内向的な個のプランに対してクラウドファンディングの成果は期待できない事は、実行する前から予測はしていたが、環境に添った方法を取れば充分に達成可能だとも思っていた。
しかしクラウドファンディング会社側のその辺の理解度がとても低かった。
つまり、クラウドファンディング会社(の担当キュレーター)は、先に触れたようにロックバンドの実態を知らない。
だから、マニュアルどおりの方法論を貫こうとするが、ロックバンドを取り巻く環境を理解していれば、単価の問題や、キックバックの設定など、もうすこし現実的なプランが提案できるのではないかと思い、逆にこちらからアドヴァイスするが、ほとんど受け入れられなかった。
まぁ、向こうは実務が伴ないうので、リスクは背負いたくないし、例外も作りたくないのだろう。
しかしそこを恐れていてはノウハウ不足は解消しないし、まだまだ発展途上と言わざるをえない。

5:クラウドファンディング自体が軽薄に見える。
よく無駄に座談会などを開いて名刺交換して「これでボク等の意識が高まったよね!?」とか言いながら、その実何も変わってない「意識高い系」みたいな連中と同じ軽薄さを感じるわけだ。
こういう場面で本当に為になってその座談会での話題を実践で生かせるのは、参加者のウチのほんの一握りだけ。
多くは、参加することに意義がるかのごとく参加して終了。
そういう連中が多く存在することで、その座談会自体が物凄く軽薄に見えてしまう嫌いがあるが、クラウドファンディングにもその軽薄さを感じてしまう。
其の原因は2つ。

1)多くは達成せずに終了している。
2)クラウドファンディング会社というものの存在自体の疑問。

1)については、取っ掛かりが簡単なため、始めるのは簡単だが、成功するのは難しい。
でも始めた連中は高テンションで、失敗するやつほどテンション高い。
だから構図として、軽薄に見えるのだ。
まぁ、好みの問題だと思うが、オレはちょっと鼻についた。
2)については、資金集めをしてその達成した中から2割り程度の手数料をクラウドファンディング会社に支払うのだが、この形態はつまり広告代理店と同じだ。
通常の広告代理店なら依頼者の力が及ばない範囲まで広告展開をしてもらえるとか、広告自体を作ってもらえるとか、そう言うノウハウも含めての料金なので、なるほど納得がいくが、クラウドファンディング会社はどうだろう?クラウドファンディング会社は、プロジェクトの広告展開をする上での媒体をプロジェクト立ち上げ者のSNSを使っている。
言い方が悪いが、マトモなノウハウもない。
ノウハウがないから的確なアドバイスもない。
宣伝をしてくれるわけでもない。
お座なりのwebページを作っただけで、2割の手数料をよこせと言うクラウドファンディング会社自体を信用出来ないと言う問題がオレには有った。
そもそもクラウドファンディング会社のwebsiteにアクセスする必要があるのだろうか?例えば、オレはバンドのホームページでネットショップも経営している。
そこではカード決済も可能になっているので、自分で宣伝して寄付をもらうなら、そこで何らかの商品を購入してもらっても良いわけだ。
クラウドファンディングを利用して唯一得られる利点は、「クラウドファンディング」と言うお題目が使えることだけ。
そういう部分の疑念は最後まで無くならなかったが、まぁ実験ということでやってみたわけだ。
ということで、今回のようなプロジェクトでは、知人友人以外での賛同者が中々得られない事がわかった。
打開策として思いつくのは、

1:SNSのフレンドなどを沢山集めること。
インターネットを介在して広げるシステムですから、SNSの等での「友達」は最も重要な賛同者候補になります。
なので、フレンド申請をバンバンしまくって最低でも1000人規模のフレンドが必要だなと思いました。
Facebook、Twitter、mixi、他にも沢山のSNSがありますが、最低でもこの3つは日本では鉄板なので、フォローしておきたい。

2:プロジェクト・プランに公共性を持たせる。
これは限界があるとは思うが、「自分たちだけが得をする」ようなものは当然受け入れられない。
自分たちのプロジェクトにどれだけの公共性をもたせられるかが一つの鍵だろう。

3:キュレーターの言いなりにならない。
クラウドファンディング会社の趣旨にも寄るが、キュレーターの言いなりでは、現実的では無いプランを提示され、成功までの道のりが遠くなる。

4:空気感を大切にする。
キュレーターは場の空気を読めないから、的確なアドヴァイスは出来なくて当然なのだ。
このことに早く気づいていれば少しは違ったかも知れないが、今回は初めてなので、作法を学ぶ意味でも言いなりに成ってみた。
結局オレは初めてのクラウドファンディングだったため、9割方キュレーターの言いなりでプロジェクトを推進したが、これは明らかに失敗だった。
もっと場の空気を読んで、空気にあった進め方をすべきだったろう。

5:いっそ自分で立ち上げる。
出来合いのwebショップアプリを利用して、煩雑なカード決済の代行手続きをガマンすれば、自分でやれてしまう。
其の方が、自分たちの環境に成った方法で展開できる。
クラウドファンディング会社でプロジェクトの宣伝をしてくれないのであれば、会社に手数料払ってまでやる意味が無い。

まぁ、雑感的にはこんな感じだった。
クラウドファンディング会社に務める方が居れば、ユーザーの生の声として参考にして欲しい。
未来の有るシステムだと思うので、もっと日本人向けにちゃんとローカライズされて欲しいと思う。
以上でした。